| 施工計画書(要領書)について |
| 官公庁の建築工事では、着工に先立ち、総合仮設の施工計画書を、さらにエ事別に材料、工法、品質管理などを、具体的に定めた施工計画書を作成し、監督員の承諾を受けることが定められています。 建築工事は、やり直しがきかない場合が多く、安全、技術、原価管理、工程などの事前の検討は必要不可欠です。これを怠ると、手戻りや事故にもつながり企業の信用を失い企業を存続させていくことが出来なくなります。それほど重要なのです。 工事を担当されるに当たって、設計の趣旨ならびに現場の諸条件をよく調べ、理解した上で、上司にも相談し事前に検討会などで、その現場に見合った施工計画を立てなければなりません。これにはもちろん協力業者や材料業者の意見も取り入れることが必要です。 |
■施工計画書を作成する上で参考になる書籍をご紹介します。
| 1 | 建築施工計画書・要領書の作りかた 〔躯体編〕 |
彰国社編 | B5・180頁・定価(本体2,840円+税) ISBN4-395-11517-9 |
| 2 | 建築施工計画書・要領書の作りかた 〔仕上編〕 |
彰国社編 | B5・281頁・定価(本体4,000円+税) ISBN4-395-11519-5 |
| 3 | 建築工事施工要領書の作成入門 | 彰国社編 | B5・160頁・定価(本体3,010円+税) ISBN4-395-11522-5 |
上記に挙げた「建築施工計画書・要領書の作りかた〔躯体編〕」を読んでみますと、
施工計画書を作る上で、大変参考になることが数多く書かれています。その中の一部をご紹介したいと思います。
| ●新しい「施工要領書」の在りかた (P6) | ||
| 4.監理者が施工要領(計画)書に求めていたもの (P11) | ||
| (中略) しかし、提出を求められている要領(計画)書の項目を些細にみると、品質確保と直接関係ないものまで含まれている。何故この項目が必要なのか、これをチェックすることが、監理者の役割の何を果たすことになるのか、という疑問が出てくる。(例えば現場の安全管理) おそらく“設計図書どおり施工が進められ、所期の建築物が完成したか否かを確認する”監理業務の一つとして、標準仕様書に記載されているすべての事項(現場の災害防止が通常含まれている)をフォローし確認するためであろう。このようにみてくると「標準仕様書」とは何か、である。 仕様書とは、設計図で示し得ない規格、工法を示すことのなかに、施工をめぐるすべてのやりようが包含されていると考えられる。つまりゼネコンを指導、監督して工事全体の運営をつかさどる基本的立場をみることができる。 施工者のほうに主体性をもたせようとして施工要領書が生まれたにもかかわらず、工事全体支配の基本的立場は変わっていない。 さらに問題なことは、設計図書に、最終出来上がりの状態で(全体または部位別に)どのような性能を持たせるか、という品質上最も必要な設定が欠落したまま、極端なディテールや施工のやりように目が向けられている点である。いうならば、何をつくるか(What to build)を決めないで、どのようにつくるか(How to build)にのみ介入していることである。 |
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| 5.建築生産システムの見直し (P13) | ||
| (中略) 建築士会連合会のさきの提案では、施工要領書について次の主旨が表明されている。「施工管理者と専門工事業者のあいだではこの合意品質を確定するとともに、施工の方法を「施工要領(書)」のかたちにまとめる。そのなかで特に設計品質伝達表でしめされた重要品質の品質管理の方法を「施工品質管理表」としてまとめる。 「施工要領(書)」は施工の基本的な手順と急所をきめるもので、施工管理者と専門工事業者の当該施工についての約束のあかしともなるものであって、従来のように仕様書やあらかじめつくられた標準施工要領書のまる写しとして形骸化したものであってはならないことはいうまでもなく、設計.監理者の承認は必要ではない。設計・監理者の承認が必要なものは設計品質伝達表に基づいてつくられる施工品質管理表である」(中略) |
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| 6.これからの施工要領書−−−計画書と要領書の分割 (P15) | ||
| (中略) 結論的にいえば、このフロー図のアミ伏せ内が従来の施工要領書である。従来の施工要領書の内容のあいまいさ、とくに施工管理者(ゼネコン)と専門工事業者(サブコン)の役割の不明確さを解決し、同時にゼネコンの物ばなれ、技術ばなれに歯止めをかける意味で、従来の施工要領書を「(工種別)施工計画書」と「(工種別)施工要領書」に分割してある。 |
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| (1) | 工種別施工計画書 監理者の承認を得た施工図にもとづき、工種別に展開して施工を進めるに当たって、工種別施工計画(書)、同要領(書)、同施工品質管理表の三つを大きい意味の工種別施工計画のアウトプットと位置づける。 ある工事全体の効果的運営を目指すなかで、その工種として達成すべき品質、納期、安全を確実にし、かつ生産性を最大限に発揮させるような施工計画を立てることは、ゼネコンとしての本来的業務であり、この業務の一部でも専門工事業者にゆだねる行為は、自らの役割を放棄していることになると考えた。この計画の良否いかんが、その工種を実際に施工する専門工事業者の生産効率に大きく影響を与えるばかりでなく、達成品質そのものに関わるものであることを認識し、作業所のみならず専門スタッフなどのアドバイスを受けるなど、衆知を結集して計画を立てるべきものであろう。 このなかの施工計画(書)は、専門工事業者に対する作業所としての計画伝達書として活用出来るよう、次の内容を盛込むようにする。 |
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| 1) | 工事概要、ゼネコンの施工管理体制 専門工事業者に、その工事全体と施工担当工種の規模や内容、および施工管理者側の管理体制を知らせる。これは専門工事業者側のその工事にふさわしい担当者の選定に役立つはずである。 |
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| 2) | 要求品質・設計仕様 重点施工管理計画書で合意された品質あるいは、そこで取りあげられてはいなくても、施工管理者として明確にしておきたい品質を、ここで専門工事業者に伝達する。 専門工事業者に力がある場合には、要求する品質そのものや、それを確保するための設計仕様の過不足について提案してくる場合もある。 この場合は、重点施工管理計画書の確定と同じような協議が、施工管理者と専門工事業者の間で行われることになり、その結果が、設計品質伝達表の内容と異なる場合は、設計・監理者の承認が必要と思われる。 なお、ここで明らかにした品質は、施工管理者として受入れ検査の対象となる。 |
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| 3) | 採用工法または基本的施工法 施工管理者側から指定する工法があれば、ここで指定する。また、作業のやり方について指定したい特別な方法があればここに書く。ただし、この欄も業者側からより有効と思われる工法の提案があった場合には、積極的に協議に応ずる姿勢が必要である。 |
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| 4) | 施工条件 施工管理者としての本来的役割にもとづき、計画書のなかに明記したい施工条件は、以下のようなものになる。 ・施工範囲・・・・・・契約にもとづく当該工種の施工範囲、関連工種との接点 ・日程計画・・・・・・他工種とのつながり、その工事の納期およびそれらの調整 ・仮設計画・・・・・・足場計画、揚重・運搬計画とその諸設備の運用 ・安全計画・・・・・・工事全体に共通安全指示事項に別途に示されるので、ここではそ の工種についての安全指示 |
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| 以上の工種別施工計画(書)は、監理者が指定する重要工種については監理者の検討・助言を必要とする場合があると考えるが、取りあげられていない課題または工種の計画については、原則として提出義務はないものとしてよい。 | ||
| (2) | 施工要領書 今回の筆者らの提案では、前にも述べたとおり、従来の施工要領書を施工管理者側で計画する部分と専門工事業者で計画する部分に分割した。この点が、従来と大きく異なる。これからの新しい施工要領(書)は、専門工事業者が施工管理者から示された施工計画(書)のもとで、効果的な生産体制、手順、方法を具体的に展開したものという性格を持たせようというものである。したがって、同一の施工計画(書)が示されても、専門工事業者の技量に応じて体制や作業方法は変わってくる。むしろ専門工事業者の得意とする手段が、ここで展開されることが望ましい。施工要領(書)には、次の内容が記載されるようにしたい。 |
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| 1) | 施工体制と作業員計画 施工計画(書)で指定された工期内に完成させるための、専門工事業者側の施工体制を、組織表や配員計画で示す。 |
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| 2) | 資機材計画 資機材計画は、品質、施工能率、安全に大きな影響を与えるものであり、事前に専門工事業者内で十分検討すべき事項である。 |
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| 3) | 施工手順および具体的方法 与えられた日程、仮設設備などの条件、または指定された工法のもとで作業をどのような手順でどう行うのかを、役割を含めて具体的に記載する。この項は施工要領(書)の中心をなす部分であり、図入りで作業者が効率的にバラツキなく作業が行えるよう記載しなければならない。 |
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| 4) | 養生・片付け 従来この作業は、専門工事業者の範囲ではないような、誰がやるのか分からない記載が多かった。今後は自らの問題として、養生方法、片付け方法を事前に計画すべき事項としたい。 |
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| 5) | 安全管理 その工種の安全管理事項に限らず、専門工事業者としてどのような安全管理を行うのかをここにまとめる。 |
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| 当施工要領(書)は、設計・監理者の承認を必要としないとする考えは、(社)日本建築士会連合会の提案のとおりである。しかし、とくに重要工種では、設計.監理者の助言を受けるほうが、むしろ施工側にとってプラスになると判断した場合は、自主的に提案するようにしたい。この施工要領(書)レベルのものを従来のように承認すべき書類としたときには、再び、建前的形骸化の道を歩むのは明らかなので、この運用については監理者側の格段の理解を得たいと思う。 また、従来の施工要領書を分割して、ここで述べたような新しい施工要領書を専門工事業者主体で作成させることは、その前提となるゼネコンの役割を確かなものとすると同時に、専門工事業者の技術力、自主管理力の向上にも役立つであろうと、これも狙いの一つとして意識した。建設業の緊急課題である“元請。下請関係の構造改善”の一助として役立てられるなら、この上ない喜びである。 |
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| ●施工要領書に見る良い点と改善したい点 (P17) | |
| (中略) | |
| 1.表紙について (P17) | |
| たかが表紙とはいえ、そこに、その施工要領書の性格が大きく表れる。 施工要領書の表紙は、誰のために、誰がつくったかを示す重要な役割を持っている。 | |
| 1−1 | 作成者は専門工事業者である 例−1(省略) は、ゼネコンのみで作成したと思える例である。一般に施工要領書は、下図のフローで作成されるのがよい。 これに示すように、施工要領書は、ゼネコンのその工事の運営方針に基づいて専門工事業者が起案し、最終的には、双方のキャッチボールの結果などがまとめられたものである。その記載内容を実施するのは専門工事業者であり、専門工事業者のためのものであるという意味で、表紙には専門工事業者名をのせる。 たとえ、現在施工要領書をまとめることができない業者に代行して、作業所がまとめた場合でも表紙にのせる会社名は、施工に当たる専門工事業者名とする。 |
| 1−2 | 施工要領書は個別工事ごとにつくられるもの例−2(省略)は、専門工事業者で印刷された標準的施工要領書である。いつでも、どこにでも通用するような一般的な内容や、基本的な施工手順やその業者の作業の標準などが書かれている。これらは施工要領書と呼ばれるものではなく、「作業標準」と呼ばれ、施工要領書作成時の参考書として活用されるものである。今後、各業者ごとにもってほしいものである。 個別工事では、要求される品質や施工条件(工期、予算など)が異なるので、その中でいかに経済的に安全につくるかを、施工要領書では記述すべきである。 |
| 1−3 | 施工要領書は監理者に提出して承認を得るようなものではない 施工要領書は、設計図書などで示された「狙いの品質」に合ったものを能率よくつくるための、ゼネコン、専門工事業者の技術的ノウハウや、専門工事業者の作業方法などを記述したものであり、これらは、基本的に監理者の承認を得なければならない性格のものではない。 監理者に提出しなければならないものは、設計で狙った物がつくられているか否か判断するに必要な最終出来上がり品質(または性能)、および中間時点での作業のプロセスの状態をどう管理していくのかを定めた「施工品質管理表」のほうである。例−5(省略)は、サブコンのS石材、Y大理石、K石材が主となり、ゼネコンや設計者までが協力してまとめたものであるが、ゼネコン、設計者の承認欄はない。 |
| 2.目次について (P18) | |
| 「施工要領書は、専門工事業者のための、狙いの品質のものを能率よくつくるための計画書」ということは分かったが、施工要領書の中で、それをどういう順序で、どういう目次立てで、どこまで細かく書くのがよいだろうか。まず、目次から見てみよう。 | |
| 2−1 | 網羅的である必要はない 例−6(省略)は、生コンクリート製造(レデーミクストコンクリート)の施工要領書の目次である。内容が網羅的で施工要領書というより生コンクリート製造のための教科書に近い。当要領書を作成した担当者は相当の努力を払い、そのおかげでかなり知識は習得されたことだろう。だが、あるべき姿を細かく転記したにすぎず、それが実際の施工の場でどのように役立ったかは疑問になる。例−7は、例−6の目次、2ー6「規格」の内容であるが、この施工要領書が使いこなすためのものでなく、生コン製造の「建前」を論じたものになっていることが分かる。施工要領書の作成に膨大なエネルギーを要するという声を聞くが、この例のように、どうしても管理しなければならないものに絞らず、何から何まで書こうとするところにその原因の一つがある。 |
これらのことを踏まえて、施工計画書を作成するときには反映させたいものです。 |
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